神戸東灘区にあるパーソナルトレーニングジムのFujitaniです。
筋トレにおいてフォームが重要であることは言うまでもありません。
パーソナルトレーニングセッションを生業としている私たちは、最良のトレーニング効果と、最大限の安全性を求めてクライアントの皆様にベストなフォームをご提案します。
その一つひとつを顧みると、どれも万能ではなくて個人差を考慮した「個別性の原則」に乗っ取ったものです。
適切なフォームの決定には、年齢、性別、トレーニング経験・目的、現在と過去のケガ・病気、当日の疲労度・・・
様々な要素が必要ですが、一番見落とされがちなものが1つあります。
それは「人は生まれ持ってみんな違う」、要するに個人差があるという点です。
巷では当たり前のように、個性だ!オンリーワンだ!と言う割に、ダイエットやカラダ作りとなると「あの人が出来れば私にもできるかも」と思ってしまいがちです。
幼少期の食事や生まれ持った遺伝子配列によって口にした食事の吸収率が違いますし、肥満細胞の数、体温、全身の血液配分、血管・リンパ管の位置、骨格(手足の長さや配列など)、筋肉と腱組織の長さ、どれをとってもみんな個人差があるのです。
私はスポーツ医科学研究の分野を専門としているので運動器(直接的に体を動かす器官)で一例を挙げると、「小腰筋」という50%の人類しか持ち合わせない筋肉があります。
聞きなれないかもしれませんがこの筋肉は、比較的有名な腰を支える「腸腰筋」の構成要素である「大腰筋」が分岐したもので、二足歩行を獲得した人類にとって不要になりつつある筋肉です。
なんと、医学分野発展のために行なわれるご検体の解剖において、何年か前、右側のみ備わっていて左にはない個体と出会った経験もあるほどです。
これほどまでに個人差のある体を、同じフォームで行うには限界があることをお分かりいただけましたでしょうか?
ここから肩のトレーニングの代表「ダンベルレイズ」をテーマに、フォーム作りのためのパーソナルトレーナー的視点をご紹介しましょう!
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≪ 目次 ≫
ダンベルレイズとは?
ダンベルレイズは主に3種類で、三角筋の前部線維を鍛える「フロントレイズ」、中部(中間)線維を鍛える「サイドレイズ」、そして後部線維の「リアレイズ」があります。
一般的なトレーニングジムで出会いやすいのは「サイドレイズ」で、個人差もあると思いますが肩を鍛える運動としては万能な印象もあり、とても人気があります。
そのほかの2種目をしている人はそれほど多くなく、筋トレ部位を日ごとに分割している場合に取り入れるケースが見られるようです。
カラダ作りに熱が入ると、どの筋線維も譲れなくなるわけですね。
三角筋の個人差
一見すると、みなさん同じような三角筋をしていますが、よく見ると人によって個人差があるのがわかります。
まず、このコラムを書かせてもらっている私の場合、中部(中間)線維が肩の出っ張り(肩峰と呼ばれる)からほとんど真っすぐ下って、腕に向かうのがわかります。「解剖学参考書どおりの肩」と言ってよいと思います。
次に、専属管理栄養士さんの三角筋をお借りして見てみましょう。
私の三角筋と違って、肩峰の後ろから中部線維が現れ、斜め前に下りながら腕に向かいます。
余談ですが、このタイプの三角筋はボディーメイク上、美しいシルエットが作りやすいので私は「お得な肩」と呼んでいます。
ただし、力学的には関節の軸を避けるように筋肉が通るので、多少のロスがあります。
サンプルをご用意できませんでしたが、管理栄養士さんとは逆で、中部線維が肩峰の前から現れ、腕に下りていくタイプもいらっしゃいます。
そのほとんどが、幼少期から極端に姿勢が悪く、肩甲骨が極端に外へ開ききった「巻き肩」の場合に見られます。
あなたはどのタイプでしたか?
知能が発達している人類において、どのタイプが偉いなどというのはありません。ただ、この後に説明するトレーニングフォームは違ってきます。
【タイプ別】フォームの一例
ここからは、個人差を考慮したフォームの紹介です。
ここにも落とし穴がありまして「じゃあ僕の三角筋はこのタイプだからこの方法でいいんだな」ではダメで、人の体は様々なパーツから成り立っていますので、それらも考慮しなくてはなりません。
したがって、ここで紹介する例は、三角筋以外は全てニュートラル(人類の平均値)に近い人の場合だと思ってご覧になって下さいね。
さぁ、ダンベルレイズ全部のトレーニングを取り上げるとややこしいので、最もポピュラーな「サイドレイズ」で解説しましょう!
私(トレーナー)と似ている方
上の写真のようにダンベルを水平に構え、【肩→肘→ダンベル】が地面に対して平行になるまで腕を上げます。
サイドレイズはとても奥が深く、説明したいことが山ほどあるのですが、個人差によるフォームの違いを理解していただくために簡略化してお伝えします。
肩の筋トレについて詳しく知りたい方はこちら(☞かっこいい肩を作る)をご参考ください。
専属管理栄養士さんと似ている方
私の時とは異なり、ダンベルを後述する角度まで前側へ捻って、【肩→肘】のみが地面に対して水平になるまで腕を挙上します。
そうすると、ダンベルは少し垂れ下がった位置になるでしょうか。
ダンベルを捻る角度の目安は、挙上時に三角筋の中部線維が肩峰の真上に位置する程度です。力学的にみると、関節の軸上へ来た筋肉に負荷が乗りますね。
「巻き肩」タイプの方
左右の肩甲骨を寄せて、普段よりも姿勢を正した状態で行います。腕は私(トレーナー)タイプと同じで【肩→肘→ダンベル】が地面に対して平行になるまで上げましょう。
このタイプは、姿勢不良によって中部線維が肩峰の前から始まっているため、背筋と肩甲骨の位置を正すのが有効です。
おまけと補足
以上で説明を終わろうと思いましたが、もう少しだけ・・・
もし、私(トレーナー)が「フロントレイズ」をするなら、肘を内側へ絞り、掌側を天井に向けた状態で行います。
管理栄養士さんなら肘を自然に伸ばし、ダンベルを立てて実施するのが良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
Web上の筋トレ情報サイトやyoutubeなどを拝見しておりましても「誰でも○○筋に100%効かすフォーム」といった種類のものが散見されるので、それらだけではトレーニングフォームを決定できないことを皆様にお伝えしたく、このコラムを書きました。
ぜひ個人差を逆手にとって、明日からの筋トレに役立てて下さいね。
今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。